上智大学 Sophia University × Diversity & Sustainability

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お知らせ

ソフィア・ダイバーシティ・ウィーク2024を開催しました

多角的アプローチ

2024年1月6日 イベントレポート

11月25日の「女性に対する暴力撤廃デー」から12月10日の「世界人権デー」(含む「12月3日障害者デー」)までを実施期間として、ソフィア・ダイバーシティ・ウィーク2024を開催しました。

8回目の開催となる今年度は、「アイデンティティとダイバーシティ~多様性理解の中でアイデンティティやステレオタイプを考える~」をテーマとして設定し、学生と教職員のみならず学外の方も共に共生社会を考えるイベントとなりました。

11/27 ヘラルボニー協力企画 体験型ワークショップ(企画:ダイバーシティ・サステナビリティ推進室)

「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、「福祉×アート」の分野で急成長している株式会社ヘラルボニーをお招きし、謎解きゲームを使ったワークショップを開催していただきました。チームに分かれ、目の見えにくい役や限られた数の言葉しか話せない役を疑似体験しながら謎解きを進めていきます。成功率はかなり低いというこのゲームを考案した、同社社員でろう者の菊永ふみ様を講師に迎え、謎解きの中で実際の手話や共生社会に向けた考え方を学ぶことができました。参加した学生からは、“違い”と向き合うためにどのような考え・アクションが必要なのかに気づくとともに、日常における自身の行動を見直すきっかけになったとの声が多く聞かれました。授業や本では学ぶことのできない「障害がある環境とそれを取り払う立場」を体感できただけでなく、マジョリティやマイノリティという言葉さえも考え直す時間となりました。

11/28 生成AIで考えよう!見せたい自分と見られる自分(学生実行委員会)

「自分はこうである・こんな人になりたい」と思っていても、他者からそのように認められないとアイデンティティとして確立されないのではないか、という疑問から、「自分のアイデンティティは自分のものであると同時に他者からの承認が必要である」というダイナミクスを問う企画を行いました。本企画では、まず自分のなりたい像を表す5つのアイデンティティをプロンプトとしてChat GPTに入力し画像を出力します。その後、画像のみを参加者に見せて入力したプロンプトを考えてもらい、それを個々で生成AI に入力して新たに出力された画像と元の画像を比較しました。これにより、生成AIによって可視化された「自分らしさ」が他の参加者にはどう見えているのか理解し、「自分らしさ」と「他者が認識した自分らしさ」とでしばしばギャップがあることを体感してもらいました。一因にAIの学習素材の影響による出力の偏りがあり、現実世界で私たちが無意識に抱くステレオタイプに通ずるものがあると発見したと同時に、ステレオタイプが他者のアイデンティティ認識にどう作用するかを可視化することができました。自分と外界の関わりについて俯瞰することができた良い機会でした。

11/28 Interactive Workshop
on Self- and Interpersonal Awareness:
Identity and Belonging Through Expressive Arts
(学生実行委員会)

この企画では、本学大学院グローバル・スタディーズ研究科特別研究員であるBeatrice Meloさんと学生実行委員会の学生たちとの協働により、アイデンティティについて考えるアートワークショップを実施しました。当日は、母国語・出身地・文化などが異なる様々なバックグラウンドを持つ学生や一般の方に来ていただき、日英同時開催のイベントとなりました。個人やグループでのアート制作を通して、自己認識や対人関係、自身の社会問題への意識などを見つめ直しました。グループに分かれてのポスター制作では、各グループにジェンダー・人種・ルーツなどのテーマを一つ決めてもらい、それらに関する強いメッセージを伝えるためのポスターを作成してもらいました。最終的に各グループにポスター発表をしてもらい、多様性を受け入れ、よりインクルーシブなコミュニティを構築するために考察を深める良い機会となりました。

12/4 ステレオタイプの影響は大きい!?(総合人間科学部心理学科)

「○○といえば~だ」「こうあるべき」といった世の中に溢れたステレオタイプについて、それを押し付けや偏見・差別などの他者を傷つける道具、ストレスに繋げないために、心理学の観点からイベントを行いました。本イベントでは実際に印象形成、ステレオタイプのような価値観形成の過程を感じることができる簡単な実験を行いました。参加者には「先生、研究者、知的、冷たく、決断力のある方」という断片的な情報のみが与えられ、そこから想像する人物を描いて頂き、参加者同士でどのような人物像が浮かび上がったかをシェアして頂きました。上記のキーワードから“眼鏡をかけた人”や“男性”を連想する方も多くいました。企画を通して、当たり前のように共有されているステレオタイプがある一方で、自分だからこそ持つ価値観やステレオタイプがあると実感し、自分と他者の価値観の違いを認識し、押し付けずに共有することの大切さを学びました。

12/5 ジェンダー表現の新時代・ファッションで読み解く多様性(学生実行委員会)

株式会社keuzes(クーゼス)代表の田中史緒里様をお迎えし講演会を開催しました。田中氏は、女性の体形に合わせたメンズスーツをオーダーメードできる会社を立ち上げた実業家。そのきっかけは、自身が二十歳を迎えたとき、「成人式に何を着たら良いのだろう・・」と悩み、結局出席を諦めたことにはじまったと起業の経緯を紹介しました。しかし、着たい服が手に入ったとしても、当日周りにどう思われるかが気になって結局成人式を欠席したという話を顧客からしばしば聞くようになり、誰もが不安を感じることなく自分のありたい姿で大切な節目を迎えられるように、自社で「SEIJIN-SHIKI」をプロデュースするに至ったこともお話しいただきました。参加者からは「自身の悩みが軽くなった」「普段講義などでは聞けない話ばかりで、視野が広がった」などの声が寄せられ、自身や他者との向き合い方について考える貴重な機会となりました。

12/8 セルフラブ~Alan Takahashi様と学ぶ 周りに広げるポジティビティの秘訣~(学生実行委員会)

Netflixシリーズ「THE BOYFRIEND」に出演され、前向きな姿が多くの人々に影響を与えた Alan Takahashi 様をお呼びして、セルフラブやアイデンティティついて考えるトークイベントを行いました。上智大学の学生に限らず学外からも多くの方がご参加くださった本企画は、実行委員学生を交えたパネルトーク形式で進められ、Alanさんご自身の経験とともに多岐に渡るお話をしていただきました。セルフラブについて伺った際には、自分のためになることが相手のためになり、相手のための行動が自分に返ってくることから、セルフラブは決して1人の中で完結するものではなく、人との関わりの中で生まれるという点が印象的でした。また、多様性が重要視されている今、私たちはどのような心持ちでいたらよいかと問うと、その言葉に縛られずもっと楽に柔らかく、自分や他者と向き合って楽しんだらいいと教えてくださいました。企画終盤に行った質問コーナーでは多くの手が挙がり、会場全体で前向きな気持ちや強い思いをシェアすることができ、温かい時間となりました。最後に、将来に不安を感じてしまいがちな学生時代だからこそ今を大事にしてほしいというメッセージもいただきました。