第12集 ロールモデル集 日本語
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ご自身は、自らが女性であることにこだわりはありませんでした。自然体を極めることが、女性の社会進出における不利を克服する鍵になり、「男性と女性はサイクルが違うだけで、人生をトータルすれば同じ」と考えておられました。当時から“家庭と仕事を両立させている先生のようになりたい”と憧れる女性は多く存在しましたが、先生は女性が職業をもつことや職業選択の多様化が徐々になされる中で、焦らずに上手にタイミングを掴むことが、キャリアも家庭もうまくこなす術だといいます。先生ご自身は自らの生き方について「好きなことをやれる範囲でやっていたら、だんだん弾みがついちゃったのです」(小山、P124、2014)と振り返っておられます。―上智大学で学ぶ者たちへ~好奇心をもって~「私が一番望みたいことは、好奇心をもって毎日の生活にのぞむことです。今日のように、大量な情報の中に暮らしている私たちにとって、新鮮な好奇心なしには、価値ある知識あるいは真理に出会う喜びを味わうことは、大変難しいように思われます。皆さんは、それぞれ大きなアンテナを仕立て、教室の内外を問わず、不思議に思われること、疑わしく見えるものを解き明かすために体あたりでぶつかる意欲をもっていきただくように願います」(上智大学:1989)先生のご活躍は、当時の女性だけでなく、現在(いま)を生きる女性たちにとっても永遠のロールモデルといえると思いました。どんなに不利な環境でも、自分の中にある信念を貫くことで、何事も良い方向に変えることができるのだと感じます。簡単なことではありませんが、自分の軸を大切にし好奇心をもち続けることで、未来が切り開かれるのではないかと先生の生き方に強く共感しました。「10年、20年後はいざしらず、100年後というのは、想像を絶する遠い将来ですので、グローバル化の結果、そのときにまだ「国」が残っているのか、「地域」が残っているのか、すらわかりませんが、人間が生きている限りは、いろいろな試みを続けていくと思うのです。その中で、日本も様々な形で、いい考え方、いい試み、多様な幸せの在り方を打ち出して、他を引っ張っていける立派な人々と、国であってほしいと思っております」(緒方:2013)学生職員金6引用文献及び関連URL上智大学(1989)『上智の精神新入生へ贈る』六甲出版栗原幹夫(2003). 『緒方貞子という生き方』. KKベストセラーズ. 緒方貞子.(2013)『共に生きるということbehumane』. PHP研究所小山靖史. (2014). 『緒方貞子戦争が終わらないこの世界で』. NHK出版. 野林健、納家政嗣. (2015). 『聞き書緒方貞子回顧録』. 岩波書店. 中村恵. (2022). 『難民に希望の光を真の国際人緒方貞子の生き方』. 平凡社. 上智大学総務部広報課(2001).『上智大学通信』第274号Andrew H. Malcom(1976/4/2).” From Japan to the U.N., a Liberated Woman”. The New York Times. ソフィア・アーカイブズ『受け継がれるメッセージ―緒方貞子先生から将来を担う若者へ―』< https://www.sophia.ac.jp/static/archives/ogatasadako/jp/index.html> 独立行政法人国際協力機構『緒方貞子シンポジウム「あなたなら何をしますか?」―緒方貞子さんから何を学び、どう生きるかー(2022)< https://www.youtube.com/watch?v=1ZKa75ZyBNc> 画像提供:ソフィア・アーカイブズ

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