第12集 ロールモデル集 日本語
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ひとことで言いますと、「数」の違いですね。「数」ってそんなに大切ですかと言われるかもしれませんが、次の風景を想像してください。ひとりの男性リーダーが(推定年齢50・60代)意思決定の層の会議室に入ると、9割以上の席を女性たちが埋めています。また、9割以上の席を20・30代の男女や外国人が占めています。皆は礼儀正しく会議を進行し、男性の話にも耳を傾けます。しかし、なんとなく大多数の皆さんは共通な声、喋り方、文化、考え方、人生・社会経験、社交習慣、悩みを持ち、関心事も男性のものと差があります。男性の声はいつの間にかマイノリティの声になり、男性は肩身の狭い思いがします。この空想のシナリオは女性リーダーの毎日です。ご存知でしょうか。画家ゴッホは花のアイリスを主題として描いた絵画は数多くありますが、療養所に入所して描いた最初の作品には、群生した青いアイリスの中に真っ白なアイリスが一本あります。とても目立つ一方、とても寂しく孤独な存在が伝わります。アメリカで博士号を取得してすぐ日本で就職した私は海外の大学で女性リーダーとして活躍したこともないし、海外の状況を美化・理想化するつもりもありません。しかし、日本のアカデミックの上層部における女性リーダーの存在は現在でも極少数派であり、「男女共同参画」を重視するとは言えない現状です。ジェンダーバランスとは、群生した青いアイリスの中の一本ないし数本の目立つ白いアイリスの存在を許すことではなく、青い花と白い花が共存・競演できることです。現在の日本のアカデミックの世界では、真の男女共同参画とは言えず、「異種」か「女性という異文化」とどう付き合うかの段階に過ぎません。男性社会でリーダーシップを発揮する女性は、常に“act like a man ”という無言な圧力を感じます。男性と同化する女性は決して良いリーダーシップを取れません。「多様性」や「ダイバーシティ」という言葉を掲げることはとてもトレンディーで格好良く聞こえますが、実行できるまでの道は決して容易ではありません。従来の路線や習慣を変更せず多様性を擁護することはできません。ジェンダーバランスのある上層部は「多様性」とつながる第一歩です。それを目指す場合は、まず数値・目標設定は大切です。日本のアカデミック・リーダーシップの層では、上智大学国際教養学部長、同学部教授。米国コーネル大学を卒業し、イェール大学で博士号を取得。研究分野は近代・現代日本文学。2009年−2011年グローバル・スタディーズ研究科委員長、2011年-2014年上智大学学術交流担当副学長、男女共同参画室長、2013年-2014年学術誌モニュメンタ・ニポニカのディレクター、2019年-2021年国際教養学科長を兼任。ゴッホ作「アイリス」29アカデミックの世界における海外と日本の女性リーダーの違い

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