上智大学に奉職させていただいて以来、20年余りになりますが、この間、7年間にわたり大学の学術交流とグローバル化に副学長職として直接関わらせていただいたこと、並びにそれと並行して学外で様々な活動の機会をちょうだいできたことはいずれも大変貴重な機会でした。それは比較教育学、国際教育学という自分の専門が、国際交流や人々の移動をテーマとし、留学交流や学術文化交流がどのような知のネットワークを創っていくかということに主眼があり、海外の大学や国際機関との交流や連携を図るという仕事とも深く関わっていたからです。上智大学はイエズス会の高等教育機関として、ミッションに基づく独自のネットワークを持つ一方、今日では様々な学術交流活動を展開しており、そのひとつひとつに上智が築いてきた歴史やそこにかかわってこられた人々の思いがあります。国境を越え、文化の多様性を越えて対話や交渉をする中には、学ぶことがたくさんありますが、国際交流の仕事をするなかで、何より楽しいのは、そうしたいろいろな人々との出会いです。2016年から2022年11月まで6年間にわたり学外で務めたユネスコ国内委員会の仕事では、教育小委員会委員長として「持続可能な開発のための教育」の展開について議論したり、あるいはユネスコ本部において50年以上前に作られた「国際理解、国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する勧告」の改訂作業に参加する機会がありました。また2020年からは国連大学が事務局を務めるアジア太平洋環境大学院ネットワークの副議長を務めていますが、どのような場面でも、信頼と絆でつながる人々のネットワークが必要不可欠であると強く感じます。プロジェクトに取り組む時、一番大事であり、かつ難しいのは、ともに仕事をする仲間の皆さんと、どのように協力し、情報や異なる考え方を出し合いながら、最終的には皆で一体となって物事を進めることが出来るかという点だと思います。このことは、日本人同士でもそうですし、言葉や風習が異なる者同士ではなおさら難しい場合もあります。2022年にユネスコの勧告改訂作業のワーキンググループで議長を務めさせていただいた時、限られた日程のなかで、時差を考えて会合の日程調整を上智大学総合人間科学部教育学科教授。東京大学より博士(教育学)を取得。専門は比較教育学、国際教育学。2014年4月から2017年3月まで学術交流担当副学長、2017年4月から2021年3月までグローバル化推進担当副学長を務めた。25学内外の様々な役職についていることで見えることリーダーの苦労とやりがい
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