センターに比較的年配の社員11名とパート・アルバイト100名という構成でした。それぞれの職場に係長がいて、在庫センターは15歳年長の男性でした。実務はどちらも経験がなく、取引先は限られた大手の出版社でした。日本の出版業界には数千もの出版社があって、私がそれまで主に仕事をしていた、学術書などを出している多くの中堅出版社と、雑誌や文庫も出している大手出版社とでは、社風も関係もまったく違うのです。そして社内の幹部会議に出れば、私以外オール男性。すべてがアゲンストで「お手並み拝見」みたいな環境だったので、とにかく愚直にやるしかない、と思いました。わからないことは訊いて、自分なりにデータを集めて、一人ひとりとしっかり話をする、というようなことですね。そんなことを続けているうちに、グループ内でも取引先でも信用してもらえるようになり、メンバーの仕事ぶりがほかで評価されたり、取引先が難しい交渉に応じてくれたりして、手ごたえを感じました。組織のリーダーになることは、その組織の性格や自分のコンディションによって、アプローチも違います。私の場合、ちょうどこのころ親の介護があったり、無理解な上司が着任したりと、なかなか厳しい環境もあったのですが、一緒に働く仲間に支えてもらいました。特に、川口の作業現場を仕切っていた年上の男性係長が、先頭に立って支持してくれたことは、周囲の理解を得るうえで本当にありがたかったです。困難は、ほとんどの場合コミュニケーションや人間関係のなかで生じます。自分がおろそかにしたことが原因であれば、誠意をもって対応するほかないですよね。ですから「考えて解決することはとことん考える」のですが、同時に「考えても解決しないことは考えない」をモットーにしています。答えを待っている間とか、人に委ねて成り行きを追えないことを、くよくよ考えてもいいことはない。気分転換としては、誰かの物語に乗ってしまうのが一番なので、映画やドラマをみたり、落語やポッドキャストをきいたりしています。今は配信サービスがいろいろあってよく利用します。学生のみなさんからは、何をやりたいのかわからない、どこに進んだらよいのか決められない、という相談を受けることがよくあります。仕事は日々の積み重ねです。迷っている対象が具体的なら、自分が何を大事にしたいのか「正直に」書き出したほうがよい、と言いますし、漠然としているならまず目の前のことを丁寧にやりなさい、とアドバイスします。いろいろなリーダーシップのスタイルがありうると思いますが、何も勇ましいものでなくとも、現実を見通して前に進めるように、降り積もる落葉を掃いてそこにある道を示すだけでも、充分大きな仕事です。先が見通せない時代だからこそのリーダー像を、それぞれのポジションで探していただけたらと思います。本の学校2022ブレストミーティング24ストレス解消や気分転換の方法
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