リーダーの多くが悩むことは、特に近年、多様な価値観、多様な条件の中で働く方たちを同じ方向性、同じ意識をもってもらうことの難しさではないかと思います。そこに組織としてのミッションの遂行も加わり、自分個人は理解してあげたいけれど、組織人としては断らざるをえないという場面で、リーダー個人と組織の役割との間で悩みがあります。反対に、課員を守るためには組織に対し抵抗しなければならないケースもあります。ここもまたリーダー個人と課員、組織の間で悩むこともあります。私自身が一番印象深い「事件」は、管理職になりたてのときに、新規業務立ち上げの激務の中、メンバーに体調不良者を続出させてしまった時です。仕事は止められない、人員は確保できない、課員は疲弊しきっている中で、自分の力量と覚悟の不足がもたらした結果だったと、今でも苦い思い出として残っています。その最悪の壁も、他部署との調整を仲介してくれた上司、部署を超えて支援に来てくれた人たち、業務量抑制へ決断してくれた教員部長など、数々のサポートにより何とか乗り越えられました。一番救われたのは、体調不良となった同僚たちが「あのときは大変だったけど、楽しかった」と言ってくれていることです。大きな代償があったと忘れることはありませんが、激務の中でも良好な人間関係が持てたこと、当時立ち上げた新規業務は今や組織を代表する看板プログラムとなっていることは、自分が残した仕事として誇らしく思うひとつです。20代は「わざと悲しい映画や音楽を鑑賞し、思い切り泣く」ことが効果的でした。30代の頃は「寝る」「気の置けない人たちと、たわいのない話をする」ことが憩いとなり、少し余裕が出て来ると「死ぬまでに行きたい場所への旅行」を計画することが楽しみでした。最近はぐっと大人しくなり、動物の動画や音楽鑑賞するだけでかなり気分転換になります。就職したての頃は、自分のキャパが小さくすぐに満杯状態になりましたが、実は先輩や同僚にかなり助けてもらっていたと反省するばかりです。今、自分が先輩の立場になってみると、多少の迷惑をかけたとしても、自分ひとりでストレスを抱え込まずに吐き出すことが重要だと感じます。世界中がコロナ禍という未曽有の危機を経験し、社会もひとの考え方も大きく変化したと痛感しています。さらに日本はこれから20年―30年で、今目の前にある物の形やプロセスが急速に変化するでしょう。これからの社会を担う若い世代の方たちにとっては、将来が見えず、どこへ向かって動けばよいのか不安も多いかもしれません。でも変化は決してネガティブなものではなく、新しい世界を拓くドアでもあります。今を生きる皆さん時代により、人の考え方や価値観は変わります。特にここ数年間は少子高齢化の加速、AIの進展、グローバル化の日常性など、には、過去に縛られず、自分が考え自分が抱く感性を大切にし、新しい世界をポジティブに変革創造してほしいと願っています。2022年11月退職の会にて22ストレス解消や気分転換の方法
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