カルチュラル・スタディーズが‘欧米・白人・男性’による近代科学にチャレンジする活動が盛んでした。帰国直後の1974年4月の授業から‘女性社会学’を担当するよう命じられ、これが日本の大学で初めての専門科目となりました。‘ウィメンズ・スタディーズ’はその後発展的に‘ジェンダー・スタディーズ’となり、今ではジェンダー・スタディーズは日本でも当たり前の授業になっています。家族社会学では、家族を集団とする静的理論と社会的ネットワークとする動的理論の主張があり、私のメンターは後者の代表の一人で、博士論文は日本の家族研究に社会的ネットワーク論を用いた最初の研究となり、ジェンダー視点での家族分析の基盤づくりでした。その間、家族社会学の理論構築について特別セミナーの科学としての社会学となる方法論に接し、これらの変革的な視点を学ぶことで‘私の社会学’を継続する自信となりました。「個人を単位とするネットワークとしての家族の概念は女性の自律を前提とする」ことを50年近く前に発見していたことになります。もう一つのキャリアは政府、メディア、公共に向けて日本のジェンダー不平等の実態を基にその撤廃を要請する活動です。国連総会第三委員会日本政府代表代理として(1994,95)諸問題に関する合意形成の方法を観察したことは稀有な経験で、国連女性の地位委員会日本代表(1998-2010)その他の国際会議では、各国のジェンダー課題を俯瞰することで新たな研究課題の考察につながるとともに、政策課題の合意形成に貢献できました。また、2019年に日本が議長国となったG20サミットに提言するWomen(W)20の共同代表としてメンバー国の意見調整に活用し、時間的制約の中で提言案の大半がG20首脳宣言に反映されて、ジェンダー格差が著しい日本の決意が示されました。国内のジェンダー政策はこれからです。国連女性の地位委員会(CSW)日本代表席にて16「私たちの望む世界」を考え実現に踏み出そう。一人ひとりが
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