第12集 ロールモデル集 日本語
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※1現キャリアセンター※2現学生センター※3ちなみにその後、現在に至るまで図書館には配属されていない。想定外の人事異動に驚いているうちに、キャリアプランに異動希望を書き損ねているのが原因かもしれない。子育て中の先輩職員がお迎えのためダッシュで帰っているのを見て、私は「それ」を女性の仕事だと思い込んでいました。時短勤務を「許可」されているのだから、それをありがたく使うべきで蔑ろにしてはいけないとも思っていました。これまでも夫は、いつでも交代の調整相談に乗ってくれていたにも拘わらずです。男性TLとの調整の必要性もあって、そこから計画的な「交代お迎え制」が我が家に導入されました。紆余曲折を経て最終形態は、時短2日、定時1日、残業2日です。一番の効用は精神的な安定でした。子供のいるリーダーは、職場と家族の双方に十全な責任を果たせていないという負い目を感じがちです。定時(時短)で上がれる日には子供に対して「今日は早く帰ったからいつもより多く遊べるよ」と言うことができ、残業できる日はメンバーに対して「その仕事、間に合わなかったら私が今日中に見ておきますよ」と言える。どちらに対しても一定の責任を果たしている(いい顔ができる)という肯定感。残業ができるから「いいリーダー」ということでは決してありませんし、残業を肯定するわけではありませんが、いざという時にチームの砦でいられる体制を作ることで、私はようやくリーダーでいる自信を持つことができました。時短で帰ったある日、夕食を作るまでの明るい夏の夕方の時間、私はまだ小さかった子供たちと公園に出かけて過ごしました。ボール遊びをしたのだと思います。おそらくそう何度もあったことではないので、よく覚えているのでしょう。あの時のなんとも言えない幸福な開放感を今でも思い出します。仕事から解き放たれて家族と過ごす時間と、家族から解き放たれて仕事に向かう時間は、私にとって双方からのギフトでした。ただそれをギフトと感じられる時間は、子供が足元にまとわりついてくるほんの短い期間のような気もするのです。「このあたりで辛くなりそう」と思う時期に前もって休みを入れておき、その平日の休みを楽しみに働くというのが地味でささやかな気分転換です。家でゴロゴロしながら本を読み、読みながら寝てしまうという、まったくクリエイティブではない休日が大好きです。よく課員が「すみませんがお休みをいただきます」と言ってくれるのですが、「すみません」は不要なので、できれば病欠などではなく、楽しい用事で休みをとってほしいです。メンバーが健康で陽気でいられることが、組織に及ぼす好影響は想像以上に大きいと思います。私のキャリアのスタート時点には、育休制度もなく、大震災もコロナも前例や思い込みにとらわれず、生きて働くスタイルを、足場を自ら確保時代の変化は常識の変化より早く、人々の想像力を超えつつありますが、なく、人生100年時代もシンギュラリティもありませんでした。していくことは、いつの時代も大切なことだと思います。上智大学で学んだすべての人に、幸福な選択肢と柔軟な選択眼がともにあるようにと、今心から祈っています。立ち上げから関わった言語教育研究センターのメンバーと8ストレス解消や気分転換の方法

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